前途多難な船出
博士課程入試の結果が出た。受かった。受かってしまった。
もちろん受かりたくなければ出願なんてするわけがなかったが、面接がぼっろぼろに終わり、自信喪失しているのである。
大学院の建物に入ったのは図書館の利用以外、7年ぶりであった。それだけでも十分緊張感があるが、面接会場のドアを開けた瞬間、予想しなかった教授の布陣でさらにひるんでしまったのである。
20分の発表は十分練習したので、そつなくこなせたのだが、その後は20分の質疑応答。20分も!早くその時間が過ぎないのかと祈っていたが、質問が矢継ぎ早に飛んできた。学術の世界から離れて7年、教授がいつも言っていた「ディフェンス!ディフェンス!」は頭の隅にあったとしてもなかなか実行できなく、あっさり「勉強不足ですみません、今後の課題とさせていただきます」と白旗を上げたのであった。
あまりにも何も答えられなくて、時間がそう経っていないうちから「消えたい!!」の念で頭いっぱいになってしまった。試験が終了したとき、あまりの恥ずかしさで、よく知っている教授陣と目を合わせることすらできなかった。
自分の学問のベースがしっかりしていないこと、修論が断片的でフレームがダメだということなどなど…わかっていながら積極的に改善しなかったことは、悔やむばかり。そんな自分がもうダメだ、こんな恥ずかしい試験結果でむしろ落としてくれと一週間気をもんでいた。
受かったとしても、前途多難だ、と思っていた。いまも思っている。ダメダメなレベルから這い上がることができるのか、コツコツと頑張るしかないと、まだちょっと気乗りでない自分に聞かせている。